年金受け取りの年齢 受給額・資格・手続き・不安になる理由

2017年の8月に国民年金の大幅な改定が行われました。

これまでは年金受給資格は25年間の納付が最低限必要だとされてきましたが、これが10年短縮となりました。このため、国民年金に未納の期間があり、年金の受給開始まで25年を切ってしまった人でも年金が受給できる可能性が広がりました。

公的年金は2階建てとなっている

日本の年金制度は以下のような種類があり、国民全てがいずれかの被保険者、または年金受給者に該当します。

年金制度
個人型の確定拠出年金・確定給付企業年金など
国民年金基金 厚生年金保険
国民年金(基礎年金)
第一号被保険者 第二号被保険者 第三号被保険者
自営業など 会社員 第二号被保険者の配偶者

国民年金、厚生年金の部分で2階建てとなっていますが、もう一つ、確定給付企業年金や厚生年金基金、公務員の場合は年金払い退職給付などがあり、実質的には3階建てとなります。

1階建ての部分「老齢基礎年金(国民年金)」は、二十歳以上の成人全てが加入する義務があります(国民皆年金制度)。

  • 企業(会社勤め)にて給与を頂いている人が第二号被保険者
  • 第二号被保険者が扶養している人が第三号被保険者
  • 上記以外が第一号被保険者

国民全てが加入する国民年金は平等な制度のように見受けられますが、第三号被保険者に関しては年金納付をせずとも受給できるルールになっているところです。そのため、改定されるべきだという意見が根強くあります。

厚生年金は収入に応じて支払金額がアップする

成人すると、国民全てに保険料の支払い義務が発生します。その金額は国民全てが均一となっています。(平成29年度は、1月あたり16,490円)

就職先を見つけて企業に在籍すると、国民年金の権利がなくなり、厚生年金に加入することになります。そうなると、2階建て部分の支払いが発生します。そのため、厚生年金は国民年金よりも支払金額が増えます。

厚生年金は収入に応じて保険料が変わる(収入が高いと支払金額が増える)

こうなると、厚生年金に加入すると不利になる(損をする)ように感じられますが、将来の年金受給の金額がアップするため

厚生年金に加入し、将来に多くの年金受給ができるように、多めに保険料を支払っている

というように良い方向に考える事も可能です。高額になった保険料の納付に関しては、会社(または公務員)は、半分は会社側が負担してくれるので、生活費が残らないほど大きな負担になる事はありません。

国民年金の支払いが困難な場合、納付猶予の減免制度が利用できる

社会生活を送っていると、派遣会社の仕事や、アルバイト、パートなどの収入源がなくなる事があります。失業中は失業保険で数ヶ月のカバーができても、予定通りに就職先が見つからない場合、収入がストップする期間が出てしまいます。

このような収入が減少している期間も、国民年金の支払い義務が生じるので、段々と支払いが困難となってしまう可能性があります。そのような時は、事前に相談する事によって納付の免除の申請ができます。

  • 保険料の納付を一時的に猶予する(止めてもらう)こと
  • 保険料の納付を免除してもらう

この免除されている期間は、年金を受け取る資格を計算する期間の「受給資格期間」では、通常通り納付している期間としてカウントされます。そのため、国民年金を支払わずにそのままにするのではなく、早めに相談するべきです。

一時的に猶予してもらった保険料は、就職をして生活資金に余裕が出てからまとめて納めることが可能です。(猶予期間の受給資格期間がカウントされても、実際の支払金額が少ないと、年金受給金額はその分だけ減ってしまいます。)

支払う年金保険料を安くする「2年前納」制度

ショッピングをする際に、商品一つあたりの単価を安くする為には「まとめ買い」が基本となります。より多くの商品を買えばディスカウントしてもらいます。これと同じようなルールが年金保険料の納付でも可能です。

2年分の保険料をまとめて納めると、15,000円程度の割り引きになる

29年度分の保険料で計算すると(口座振替で支払う場合)

  • 6ヶ月全納すると、1,120円お得に
  • 1年前納すると、4,150円お得に
  • 2年前納すると、15,640円お得に

ポイントは、1年前納を2年間繰り返しても(合計2回)、8,300円の節約にしかならないため、前納の制度で保険料を納めるなら、15,000円お得になる「2年前納」を選ぶべきです。29年度分の保険料の2年分では、378,320円となります。

クレジットカードを使って前納することも可能

上で記載している「前納でお得になる金額」は、口座振替を使った場合です。お得な金額が減ってしまいますすが、現金、またはクレジットカードを使っても同様の「2年前納」が可能です。

29年度分の保険料で計算すると(現金・またはクレジットカードで支払う場合)

  • 6ヶ月全納すると、800円お得に
  • 1年前納すると、3,510円お得に
  • 2年前納すると、14,400円お得に

2年前納の場合には、1,240円お得金額が減少しています。この金額差から考慮すると、クレジットカードで支払っても、カード払いでゲットするポイントで1,240円を上回ることは難しくなります。そのため、現金払いやカード払いをせずに口座振替の手続きにすべきです。

年金を早めにもらうのはお得なのか?

従来の年金制度においては、受給開始年齢が60歳と定められていましたが、これが段階的に65歳に引き上げられます。

  • 男性は平成37年度には、年金受給年齢が65歳となる
  • 女性は平成42年度には、年金受給年齢が42歳となる

「60歳から年金を受給すると決めていたのに、引き上げられるのは不満だ」とする人のために、老齢厚生年金の繰上げ受給があります。これは、実際の支給開始年齢よりも早い年齢から年金をもらうことです。

日本年金機構:老齢厚生年金の繰上げ受給

そして、逆に年金受給年齢を遅くする(繰り下げる)申請も可能となります。

日本年金機構:老齢厚生年金の繰上げ受給

つまり、年金受給が開始される年齢は自分で決めることが可能となります。では、どちらを選んだ方が多くの年金を受給できるのかについてです。

年金受給開始を遅らせると多く受給できる

会社勤め(厚生年金の加入)している人が退職、そして年金受給を考慮する場合、予定している65歳で受給する場合と、5年間辛抱して70歳から受給開始とする場合では大幅に受給金額が変わります。

年金の受給年齢は最大で5年間遅らせることができる(70歳まで)

繰り下げ(遅らせる)増額率は、0.7%です。1月遅らせるだけでこれだけもらえる率が上がります。

最大まで遅らせる計算にした場合は、待つ期間が60ヶ月となり、42.0%の増額となります。そして、この場合の問題は、遅くから年金を受給するので、65歳からもらっている人に追いつくまでに何年かかるかです。

約81歳、11ヶ月以上生きるとお得になる

65歳から年金を受給している人と比較して、42%アップの年金をもらい続けると、ちょうど12年目の始め(年齢として81歳、11ヶ月)に逆転します。つまり、

81歳、11ヶ月以上長生きする自信があるなら、年金受給を5年間遅らせるべき

このようになります。受給する金額は、それぞれ働いている会社の厚生年金の金額によって増減するため、数年ごとに送付されてくる「ねんきん定期便」を参照します。

「ねんきん定期便」には、現在の年金保険料の納付の状況、そして(現状での)年金支給の月額(毎月、どれだけの年金がもらえるのか)が記載されています。

繰り上げ受給は76歳8カ月まではお得

多くの人が気になるのは、早めに年金を手にする事ができる「繰上げ受給」のはずです。規定の65歳に到達するまでに5年間年金をもらっているので、その時点ではかなり得になることは間違いありません。

ですが、65歳から受給開始した人が、76歳8カ月を超えると抜かれてしまいます。これらをまとめていくと、以下のようになります。

年金受給開始とお得になる年齢
60歳(繰り上げ) 76歳8カ月まで
65歳(規定) 76歳9カ月~81歳10カ月
70歳(繰り下げ) 81歳11カ月以上

平均寿命が延びていく中、このルールが10年後も20年後も変わらないで現状維持しているかがポイントです。その点から考慮すると

年金制度に不安がある(続くか分からない)ので、60歳のうちから年金を受給する

という考え方も悪くないかもしれません。いずれにしても、現状で最もお得になる選択肢をしても、実際に年金を受給する年齢にならないと分からない部分が多くあります。

年金の受け取りに時にも税金がかかる

年金の問題で何度も言われるのが世代間格差です。これは、現在すでに年金を受給している年代の高齢者は、若い頃に納付した金額よりも、受け取る金額がかなり多い状況となっています。

そして、もう一つの問題は、受給した年金にも税金がかかってしまう可能性があることです。

支払われた年金額を基準にして、「公的年金等控除額」を引くと、残った金額(所得金額)が算出されます。

年金収入の金額(所得金額)から、所得控除額を引いて、残った金額があると所得税や住民税がかかる

年金であっても、個人の収入の一つとして見るため、他の所得(不動産の収入など)と合わせて、所得税の支払いが必要な金額に達していれば、算出された金額を納付する必要があります。

年金収入と、所得税の計算について疑問がある場合には、最寄りの市役所などの税務相談コーナーか、専門家(ファイナンシャルプランナー)へ相談するべきです。

まとめ:年金制度とは

現在の日本においては、格差社会が深刻になってきており、仕事に従事し給料を頂いているのに貧乏な生活を続けるワーキングプアが増加しています。

それに伴って、年金の納付が困難になる人も多くいて、満額の年金を受給できないような人も多いのです。

毎年のように少しずつ改正されていく年金制度の変化をチェックして、お得に年金を受給する方法を考えていく必要があります。

Posted by mon