児童扶養手当♢児童育成手当との違いとは?養育費・慰謝料

 シングルマザーなど、「ひとり親家族」であるなら、「児童扶養手当」を受給できる可能性があります。

 受給するには審査を通過する必要がありますが、その時に気になるのが元夫から頂いている・・

「養育費」または「慰謝料」

 ついてです。「児童扶養手当」と名称が似ている「児童育成手当」との違い、そして「養育費」「慰謝料」をもらっているなら、どのように影響するのかについて順に見ていきます。

「児童扶養手当」と「児童育成手当」

 まず、「児童扶養手当」と「児童育成手当」について見ていきますが、「養育費」「慰謝料」についての情報を探している方は「第11章:養育費をもらっている場合」へ飛んでください。

 「児童手当(平成24年以前:子ども手当)」と言われる児童を育成する環境に左右されずに支給される手当があります。これは15歳以下の子供を扶養する保護者へ支給される手当ですが、この手当以外にも「ひとり親家族」などの条件が該当すると・・

POINT

 この二つの手当が受給できる可能性があります。名称が似ているので同じ手当だと間違われやすいですが、両者は別の制度であって 支給される条件も変わってきます。支給額はこのようになります。

児童扶養手当(児童1人 月あたり9,980円から42,280円)
児童育成手当(児童1人 月あたり13,500円)

 「児童手当」は、過去に名称が変わったり、支給金額が変更されたりして話題になる事も多かったので認知度は高いですが、「児童手当」以外の2つも資格があるなら受給すべきです。それぞれ詳しく説明します。

児童扶養手当とは

 支給される前提条件として、子供の年齢が18歳に到達した年度末(3月の末日)となります。一般的には高校の卒業式があってから翌月となる3月31日が期限となります。

 また、両親のどちらかがいない、(または 両方ともいない)ことが条件となります。

POINT

両親が離婚している(母子家庭、父子家庭、親戚が養育)
父母どちらかが死亡(または行方不明・拘禁・遺棄などで不在)
父母どちらかが重度の障害者である
婚外子である(婚姻せずに生まれた児童である)
両親どちらかのDVを受けている(DV保護命令がある)

 「ひとり親家族」であるか、何らかの問題で両親がいない状態であること。そして、拘禁や遺棄の場合は1年以上不在であることが条件となります。

支給されない可能性のある条件

 片方の親がいない、または両親がいない環境だけでなく、児童の現在の状態によっては児童扶養手当が支給されない条件がいくつかあります。

  • 児童、扶養する保護者が日本国内に住所がない
  • 扶養する保護者が年金受給者であり、年金の支給額が児童扶養手当よりも多い
  • 里親に委託されて養育している

 公的年金を受給している環境では、児童扶養手当よりも受け取る年金額が低い場合には、差額分の手当が受給できます。公的年金とは国民年金、厚生年金保険、老齢年金、遺族年金、障害年金、労災年金などが該当します。

児童扶養手当の支給額

 児童扶養手当で支給される金額は毎年変わる「消費者物価指数」によって変動します。つまり、物価に応じて手当額がスライドしていくことになります。平成29年4月からの児童扶養手当の金額はこのようになります。

児童扶養手当の支給額(平成29年4月から)
全部支給 一部支給
対象児童が一人 42,290円 42,280円から9,980円
第2子の加算額 9,990円 9,980円から5,000円
第3子の加算額 5,990円 5,980円から3,000円

 子供一人の支給金額を基本として、第2子、第3子の金額を加算して支給金額を求めます。一部支給とは、所得などの条件によって児童扶養手当が一部のみ(少額)が支給されます。

所得によって制限がある

 児童扶養手当は、受給する(扶養する対象者)の所得、扶養義務となる人の所得金額によって支給金額の制限があります。

児童扶養手当:扶養義務者の所得制限
全部支給の限度額 一部支給の限度額 扶養義務者の所得限度額
扶養0人 190,000円 1,920,000円 2,360,000円
扶養1人 570,000円 2,300,000円 2,740,000円
扶養2人 950,000円 3,120,000円 2,680,000円

 全部支給とならずに、一部支給の範囲にある場合にはこのような計算式によって児童扶養手当の受給金額を計算できます。

POINT

受給金額 = 42,290円 -(受給者の所得額 - 所得制限限度額)× 0.0187052

 10円未満は四捨五入となります。

母子家庭(母と子供が1人の世帯)の支給額

 母親が子供一人を育てている母子家庭の場合、受給できる児童扶養手当の金額はこのようになります。

児童扶養手当:母親1人子供1人の場合
年間の所得額 児童扶養手当の支給金額(月額)
57万円 42,290円
100万円 34,280円
130万円 28,680円
160万円 28,680円
190万円 17,470円
220万円 11,860円
230万円以上 0円

 この金額は、母子家庭(母と子供1人のみの家庭)を想定しており、扶養親族がいない場合となります。

児童育成手当とは

 児童育成手当は、シングルで子供を育てている状況をサポートしてもらえる制度となります。

POINT

児童育成手当とは、父または母がいない児童を扶養する保護者へ支給される

 支給の対象は、児童育成手当を受給する市町村内に住所があり、18歳になった3月末日までの児童を養育していること。その他、以下の条件があります。

  • 父親か母親が死亡した児童
  • 父親か母親が重度の障害を有する児童(身体障害者として認定)
  • 両親が離婚した児童
  • 父親から母親の消息が不明となっている児童
  • 父親か母親のDVか、もしくは保護命令を受けている場合

 片方の親が養育している状況であれば児童育成手当の支給対象となります。両親ともに不明となっている場合も支給対象となります。

手当が支給されない場合

 上記の両親のどちらかがいない、ひとり親家庭の場合には児童育成手当の支給対象になりますが、その中でもこれらの条件が該当する場合には支給対象から外れます。

  • 児童が児童福祉施設に入所している場合
  • 児童が(離婚した)父母と生活している場合
  • 児童が父親、または母親の配偶者(または事実上の配偶者)と生活している場合

 戸籍上で離婚の状態になっている場合においても、現状で両親と共に生活している場合には児童育成手当の支給対象にはなりません。また、現状において父親から母親の新たな配偶者の可能性のある人と同居している場合にも手当は支給されない状況となります。

 あくまでも、片方の親で厳しい生活をしている状況を補助する目的の手当となる為、婚姻が成立していない両親(の可能性がある人)がいる場合には、児童育成手当は支給されない条件になります。

児童育成手当の支給金額

 児童育成手当は、各市町村によって支給の規定を設けている制度であり、全国一律で支給金額が決まっているわけではありません。しかし、多くの場合以下の金額が採用されています。

児童一人につき、13,500円

 ただし、保護者の年収が規定されている限度額より高い場合には支給されません。

 支給方法も各市町村によって変わりますが、多くの場合 4ヶ月ごとに支給されるサイクルとなります。6月と10月、そして2月が支給月となります。支給される前月分までの児童育成手当を指定した銀行口座に振り込まれます。

配偶者のどちら側でも支給される手当である

 多くの場合、ひとり親の家庭は、女性が一人で子育てをしているイメージがありますが、男性側が子供を引き取って育てている・・

POINT

父子家庭の場合においても、児童育成手当は支給対象

 となります。 また、何らかの法令により

  • 片方の親が1年以上拘禁されている
  • 肉体的・精神的な問題によって子育てに参加できない状態

 となっている事が認定されれば、児童育成手当の支給対象となります。

 支給対象の詳細については、各市町村の情報ページで確認できます。あくまでも、この制度は市町村レベルで制度を決めているため、他の市町村のルール(支給日、日程など)が違ってくる可能性があります。

児童扶養手当:養育費をもらってる場合

 離婚が決まった時の取り決めでは、親権がない側へ養育に関する費用が請求できます。それが「養育費」です。その養育費をもらっている状況であるなら「児童扶養手当」の認定の際に・・

POINT

養育費の80%が所得

 として計算されます。例えば、前年度のパートタイマーの所得が年間100万円であるとき。養育費として毎月5万円もらっていたとします。年間では×12で60万円になります。

児童扶養手当の申請:所得(養育費があるとき)
所得の内訳 金額(年間) 計算の割合 申請する所得額
前年の所得証明書 100万円 100% 100万円
養育費 60万円 80% 48万円
申請する所得金額の合計 148万円

 養育費とは「お金でもらう」ことが基本ですが、小切手・商品券・株券も該当し、養育権のある「ひとり親家族」が暮らしに使う費用(アパートの家賃・水道光熱費)なども含まれます。

 つまり、「児童扶養手当」の申請時にこれらの80%の金額を「養育費」として申請する必要があります。

養育費をもらっているが申告しなかったら?

 シングルマザーの生活はかなり厳しいので、「抜け道」「ズル」ができないかとヒントを探す人もいます。しかし、養育費をもらっているのに「無申告」で黙っていると・・

POINT

  • 養育費をもらっている過去の分を全額返金
  • 3年以下の懲役。または30万円以下の罰金

 という思い罰があります。次は「慰謝料」をもらった時です。

慰謝料でもらったお金は関係する?

 もう一つ、前夫(または前妻)からもうらうお金に「慰謝料」があります。離婚成立時に300万円を一度にもらったとき、または毎月2万円を慰謝料として自分の銀行口座へ振り込まれる場合も・・

児童扶養手当の申請では不要(言わなくてよい)

 ことになっています。各市町村の「児童扶養手当」の説明ページには「慰謝料」について書かれていないことが多いですが、「児童扶養手当の所得制限等について」のような制限事項が記載されたページを探すと・・

次のようなものは「養育費」に含まれません
・「慰謝料」として支払われるお金

 という記載があるはずです。これを踏まえて、わかりやすい一覧表を見てみます。

慰謝料を一括、毎月もらっている時

 まずは、離婚協議が終わり、慰謝料が一括で300万円支払われたときです。

児童扶養手当の申請:所得(慰謝料 一括があるとき)
所得の内訳 金額(年間) 計算の割合 申請する所得額
前年の所得証明書 100万円 100% 100万円
慰謝料 300万円 0% 0円
申請する所得金額の合計 100万円

 次は、毎月 慰謝料を2万円振り込むことになっているときです。2万円は年間では×12 で24万円となります。

児童扶養手当の申請:所得(慰謝料 毎月があるとき)
所得の内訳 金額(年間) 計算の割合 申請する所得額
前年の所得証明書 100万円 100% 100万円
慰謝料 24万円 0% 0円
申請する所得金額の合計 100万円

 とても簡単です。慰謝料は深刻なしです。次は、養育費と慰謝料を「毎月払い」の決まりになっている場合です。

養育費と慰謝料が毎月振り込まれるとき

 毎月、養育費として2万円、慰謝料として2万円を振り込む決まりとなっている場合。2万円は年間では×12 で24万円。養育費、慰謝料どちらも年間24万円です。

児童扶養手当の申請:所得(養育費・慰謝料あり)
所得の内訳 金額(年間) 計算の割合 申請する所得額
前年の所得証明書 100万円 100% 100万円
養育費 24万円 80% 19万2,000円
慰謝料 24万円 0% 0円
申請する所得金額の合計 119万2,000円

 児童扶養手当の申請時には、慰謝料について記載する項目はないはずです。市役所の職員に慰謝料の事を聞かれたら・・

毎月2万円が振り込まれることになっています

 と言って問題ありません。養育費と慰謝料をまとめて同じ口座へ振り込まれる場合でも

離婚成立時に「養育費として2万円」「慰謝料として2万円」

 と取り決めたのなら全く問題ありません。通帳には毎月4万円が振り込まれていても、児童扶養手当の申告に必要なのは「養育費:2万円の80%」だけです。

まとめ:児童育成手当とは 違い 所得制限 支給日

 ひとり親で子供を育てるためには、仕事と子育てを両立させるにはかなりの困難が予想されます。そのため、住んでいる市町村において児童育成手当の制度があるかどうかを必ずチェックすることです。

 この手当は、一年間で162,000円の支給となり、年齢が18歳になるまでの18年間の総額は 291万円となります。この制度が申請できる(給付条件にあてはまる)のに知らずに生活していると、かなり損をしてしまうことになります。

Posted by mon