ベーシックインカムを日本で導入する可能性はあるか?年金は払い損

 企業に勤めている普通の「社会人」のはずなのに、なぜか貯金が増えず、生活レベルもずっと変わらない方がいます。いつしか家庭をもつようになると・・

  • 「児童手当」が貰える
  • 所得税の計算では「扶養」が増えて「給与の手取りがアップ」

 このような「暮らしが豊かになる制度」があるので、お金の悩みから抜け出せる・・と思いきや、ずっと借金生活から抜け出せない方もいます。そのような社会へストレスを感じている方が注目しているのが・・

ベーシックインカム制度です

 格差社会が続く日本に不満を感じる方は多くいて、「ベーシックインカム」の導入検討を希望しています。この「ベーシックインカム」とはどのような制度なのか、わかりやすく見ていきます。

仕事があっても安定した生活は保証できない

 まずは、ベーシックインカムの概要を見て行く前に、ベーシックインカムが注目される理由からです。現在の日本でおいては・・

POINT

企業に在籍していれば将来の収入が安定

 とはなりません。昔のように年功序列でドンドン給与がアップしていく事は考えにくく、会社の状況によってはリストラに遭遇したり、いつの間にか正社員から派遣社員で働く状態になってしまう可能性もあります。

 年齢が高くなっても、いつまでも新入社員と同じような給与で働かなければ生活できない・・「いわゆるワーキングプア」に属している割合は今後も増え続けると予想されます。この不安定な生活を変えるために「ベーシックインカム」が注目されています。

ベーシックインカムとは?

 ベーシックインカムとは、国民全ての方(年齢は性別などは関係なし)へ生活を最低限保証するというシステムです。

ベーシックインカムは国民全ての最低限度の生活保障

 現在の日本は、体に障害があり問題を抱えて仕事が困難なら「生活保護」にて最低限の生活保障しています。また、仕事をリストラされると、次の職が見つかるまでの間は失業保険で生活費をカバーできます。

 このように、生活するために「支障がある方」のみが国が生活保障をするのですが、ベーシックインカムは健康で仕事ができる方、子供、老人など全ての国民が生活保障の対象となります。

Wikipediaの解説から分かること

 ベーシックインカムはwikipediaによると

ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想。 基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障、国民配当とも、また頭文字をとってBIともいう。

引用:wikipedia ベーシックインカム

 このような解説となっています。ベーシックインカムは支給対象が全ての国民であることがポイントであり、仕事をしている人、年金受給者、子供であっても全ての国民に一定額のお金を支給しようという試みです。

 非常に素晴らしい制度だと感じる人は多いかもしれませんが、よく考えてみると自然に政府にお金が増える事はありえないので・・

POINT

  • 消費税を大幅に増税
  • 年金制度を廃止
  • 社会保障などの予算を大幅に縮小

 これらの対策をして財源(ベーシックインカムで配布するべきお金)を確保していく必要があります。つまり、これまでの当たり前としていた税金・健康保険・年金などの「お金の流れをガラッと変える」方法なのです。

ベーシックインカムの導入は国民投票が必要

 国の税金のシステムや生活保護、失業保険などの「生活保障制度」、健康保険・年金の仕組みを大幅に変える制度となるので、導入を決定するまでには長い道のりが必要です。その第一歩が・・

国民投票となります

 国民投票で過半数を得られなければ、どんなに優れた政策であっても導入されることはありません。

 これまでスイスで行われた「ベーシックインカム(最低限所得保障)が必要であるか」の国民投票においては、反対意見が多数になりました。しかし・・

POINT

反対は78%であり「3割近くは賛成する」と回答

 しています。スイスの例では世界で初めての試みであった(他国の実績・指標がない)ため、慎重な判断をする方が多くなってしまったのは仕方のない結果だと考えられます。

 しかし、今後、カナダやフィンランド、オランダのようにベーシックインカムの研究を継続している国では、反対意見の方が「問題であると指摘した」要因の解決策が見つかり「有効な案」が提案されていく可能性があります。

国民の関心が無く投票率が低かった

 スイスにおいて否決されたベーシックインカムの内容は、このようになります。

POINT

  • 全ての国民(大人)に2,500スイスフラン(約27万円)
  • 子供は625スイスフラン(約7万円)

 毎月、無条件で「全ての大人に27万円を支給する」というプランであるため、これまでの生活からは予想できずに困惑した方が多かったと予想できます。

それほど関心を集めなかった

 この国民投票については10万の署名を集めて国民投票がが実現しましたが、実際に投票所へ足を運んだ方の割合「国民投票率」は46パーセントほどに落ちつきました。このようになったのは・・

ベーシックインカムへの関心はそれほど多くなかった

 といえるはずです。推進派はアクションを起こさないと「賛成多数」には届かないので、投票所へ足を運んだはずです。つまり、投票した46パーセントの中にいるはずです。

 そのように考えていくと、投票しなかった方の多くは「否定派」である可能性が高くなります。つまり、反対意見はは78%という投票結果よりも、実際はずっと高い可能性があります。

反対派の理由を真剣に考える

 ベーシックインカムの導入にあたり反対派の意見は非常に明確なものです。

POINT

  • 政府の財政不足が懸念されること
  • 国民の勤労の意欲が失われる
  • 年金受給者が受け取る金額が減る人がいる
  • 海外から国内への移民が多くなる

 などです。最も明白なのは財源を確保する事が困難となることです。一人に27万円となれば、単純に考えて一人あたり27万円分の税金を確保する必要があります。

税金を高額にして財源を確保していく

 消費税がありえないほど高額になったり、相続税や関税など、あらゆる税金を高額にしていく必要があります。そのような社会では・・

お金持ちの個人はに国外へ逃げていく
企業も高額な法人税を逃れるために国外へ
働きたくない人が国外から流れ込む

 このような状態になってしまうことが予想できます。この流れが加速していくと、ベーシックインカムの制度が破綻するだけでなく、国の経済全体が回らなくなります。優良企業が国外に逃げると、働き口が無くなり失業者が増えます。

 この増えてしまった失業者にも27万円を毎月支給するので、「どこからお金が出てくるのか?」という疑問が残ります。

日本で導入はありえるのか?

 ベーシックインカムの制度は、既存の社会保障よりもより良いシステムであるとして導入を検討する声もあります。現在の日本では・・

POINT

  • 生活保護
  • 失業保険
  • 年金制度
  • 児童手当
  • 扶養控除
  • 消費税額
  • 相続税額

 などを見直した方が良いと言う声は常にあります。社会保障制度の充実しているヨーロッパの国々を見習って、医療費ゼロ、教育費ゼロなどの社会を目指すべきだという意見も根強くあります。特に過去の制度になりつつある・・

日本のおかしい年金制度を廃止すべき

 という意見に対する答え(対策)が不透明なままで現状維持しています。すでに国民年金は、低所得者を中心に免除・猶予される方が増えすぎており、納付率は40%程度となっています。この代替案の1つがベーシックインカム制度となります。

 ベーシックインカム制度で最も注目されるのは、失業率の変化です。「人は生活のお金が満たされると仕事を放棄するか」という部分です。

失業率がどのように推移するか

 スイスでのアンケートでは8パーセント程度が「ベーシックインカム制度が導入されたら仕事をやらなくなる」と答えています。

 日本では、年間300万円の収入があるなら、不満だらけの派遣の仕事を続けなくても生活できる方が大勢出てきます。そのため、失業率が相当に伸びてしまう可能性があります。ポイントになるのは・・

POINT

仕事を継続して更に300万円の収入を得る

 決断をする方がどれくらいいるかです。ベーシックインカムで年間300万円を得て、それに加えて企業に在籍して働いて300万円をゲットすると、年収は600万円になります。

 このような「さらに高い報酬を狙っていく意欲」が高まるのか、もしくは意欲が損なわれるのかについて注目されます。

ブラック企業は自然と消えていく

 少ない給与で労働基準法に従わない過酷な労働を強いる・・いわゆる「ブラック企業」は、ベーシックインカム制度が導入されると消えていく可能性が高まります。その理由は・・

POINT

過酷な労働に耐えて賃金をゲットしなくても生活できる

 ようになるため、厳しい労働環境や、給与の未払いに耐える必要はなくなり、社員が離れていったブラック企業はやがて経営が困難となり消えていくはずです。このように不人気となる企業が次々に倒産していくと、最終的に残るのは・・

労働基準法に則った優良企業

 となります。職場環境に満足して労働に従事できるなら、ベーシックインカムにて生活費が確保できていても、ずっと仕事を続けて(高額かもしれない)所得税を払い続けることができるはずです。

少子化対策には大きなプラスになる

 ベーシックインカム制度は少子化問題にはかなり有効な効果が出るはずです。子供が増えればその分だけ「支給金額」が増えるので、子供の数だけ「楽ができる」可能性があります。毎月のベーシックインカムの金額を想定すると

ベーシックインカムの金額と人数(月あたり)
毎月 年間
大人2人 毎月57万円 684万円
大人2人+子供3人 毎月78万円 936万円

 スイスで検討されたベーシックインカム制度を基に計算してみると、このような結果になることが予想されます。子供が3人いれば年収が900万円以上になるため、子供を三人とも私立大学に入学させる貯金額を十分にキープできることになります。

 子供の数によって追加されていくベーシックインカムの受給金額アップは、現在の児童手当とは比べものにならないほど高額です。これだけの金額が受給できるなら、子供が「より増えた」方が生活が豊かになるはずです。

平均給与以上の金額をもらっている人は不満である

 ベーシックインカムの考え方は、年金受給者も含めて「全国民が一律で同じ金額を受給するシステム」という考え方です。そのため、現在すでに年金を受給してる人にとっては、年金 → ベーシックインカムへ切り替わると・・

毎月もらっている年金額よりベーシックインカムの受給額が少なくなる

 可能性があり、その差額が大きい(かなり損をする)なら反対するはずです。

 年金をまだもらっていない年齢でも、これまで高額な年金を払ったのに「一律で支給する制度」に切り替わってしまうと「払い損」となります。そのため、導入反対派となるはずです。

まとめ:ベーシックインカムとは 日本で導入することは可能か

 結局、得をするのは若い年代で安い賃金で働く「ワーキングプア」と言われる低所得層の人達だけとなります。このあたりの不公平感を無くさないとベーシックインカム制度の導入が実現する事はあり得ないと考えられています。

 社会保障や高齢者問題、年金問題や景気対策などに関してもベーシックインカム制度で検討すべきポイントが多すぎるため、実現するまでにはいくつもの研究事例とシュミレーションが必要になりそうです。

 高額な税金が不満に思い 国外に逃げる人がどれくらい出てしまうかによって、ベーシックインカム制度が成功するかが決まってきそうです。

Posted by mon