ベーシックインカムを日本で導入することは可能なのか?

 企業に勤めて収入を得ているにもかかわらず、生活に必要なお金が足りずにキャッシングをする人はいくらでもいます。

 そのような状況になってしまうのは、給料の総支給の金額に所得税社会保険料などが引かれてしまい、手取りの金額が相当に少なくなってしまう事ことが要因となります。あまりに多く引かれてしまうと、生活保護で受給できる金額よりも下回ってしまう人もいます。

仕事 = 安定した生活を送るお金の確保 ではない

 このように、企業に在籍して給与を得ている状況であるにもかかわらず生活が厳しい状況は、国の制度が間違っているからではないか?と考える人もいます。

働いていてもずっと低所得層であることをワーキングプアと言う

 近年は、世界的にも「ベーシックインカム」という新しい試みを導入しようという動きが出てきています。このベーシックインカムを日本でも導入することが可能であるのか?そして、どのような仕組みであるのか詳しく知っておく事が重要になってきます。

ベーシックインカムとは?

 ベーシックインカムはwikipediaによると

ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想。 基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障、国民配当とも、また頭文字をとってBIともいう。

引用:wikipedia ベーシックインカム

 と記載していますります。全ての国民にというのがポイントであり、仕事をしている人でも、年金受給者でも、子供であっても全ての国民に一定額のお金を支給しようという試みです。

 国民に配るお金が自然に沸いてくる事はあり得ないので・・

  • 消費税を大幅に増税
  • 年金制度を廃止
  • 社会保障などの予算を大幅に縮小

 するなどして財源の確保が必要です。つまり、これまでの当たり前としていた税金・健康保険・年金などの「お金の流れをガラッと変える」方法なのです。

ベーシックインカムの導入は国民投票が必要

 国の税金のシステムや失業保険、健康保険の仕組みを大幅に変える制度となるので、導入を決定するまでには長い道のりが必要です。その第一歩が国民投票となります。国民投票で過半数を得られなければ、どんなに良い政策であっても導入されることはありません。

 これまでスイスで行われたベーシックインカム(最低限所得保障)が必要かどうかの国民投票においては、反対意見が多数になりました。しかし、反対は78%なので2割以上の人達は「賛成する「と答えている事になります。

 世界で初めての試みとなるため、慎重な結果になるのは当然の結果だと考えられますが、今後、カナダやフィンランド、オランダなどでベーシックインカムの研究が進んでくるようになると、導入を見合わせた方が良いと考えた人達が懸念する要因を解消する為の対策が見つかる可能性もあります。

国民の関心が無く投票率が低かった

 スイスにおいて否決されたベーシックインカムの内容は、このようになります。

  • 全ての国民(大人)に2,500スイスフラン(約27万円)
  • 子供は625スイスフラン(約7万円)

 毎月、条件を考慮せずに全ての大人に27万円をに支給するという内容は、お金の流れが極端に変わってしまうので想像できなかった部分も多かったのではないでしょうか?

それほど関心を集めなかった

 この国民投票については10万の署名を集めて投票が実現していますが、実際の国民投票率が46パーセント程度となっているので、国民全体の関心はそれほど多く無かったといえるはずです。

 推進派が全て賛成に投票し、導入すると大変な事になってしまうと考えた残りの人達の3分の1程度が投票しに足を運んだという結果ではないかと予測できます。投票率が90パーセント近くいけば、反対のパーセンテージが更に延びそうです。

反対派の理由を真剣に考える

 ベーシックインカムの導入にあたり反対派の意見は非常に明確なものです。

  • 政府の財政不足が懸念されること
  • 国民の勤労の意欲が失われる
  • 年金受給者が受け取る金額が減る人がいる
  • 海外から国内への移民が多くなる

 などです。最も明白なのは財源を確保する事が困難となることです。一人に27万円となれば、単純に考えて一人あたり27万円分の税金を確保する必要があります。

 消費税が高額になったり、相続税や関税などあらゆる税金を高額にしていく必要があるため、お金持ちの人達は国外に逃げていく可能性が高まります。

働きたくない人が国外から流れ込み、お金持ちの人が国外に逃げていく

 この流れが加速していくと、ベーシックインカムの制度が破綻するだけでなく、国の経済全体が破綻してしまう可能性があります。

日本で導入はありえるのか?

 ベーシックインカムの制度は、既存の社会保障よりもより良いシステムであると考えて導入が検討されています。生活保護や失業保険、年金制度など様々な部分で不公平感があるなど 仕組みがおかしいと指摘されることが多いため、これらを全て無くして公平なベーシックインカムにした方が良いと言う意見もあります。

日本のおかしい年金制度を廃止してベーシックインカム制度を

 最大の問題は、仕事をせずとも十分な生活資金が得られる状況になったとき、仕事を本当に辞める人が大多数いるのかという部分です。

失業率がどのように推移するか

 スイスでのアンケートでは8パーセント程度が仕事をやらなくなると答えたようですが、日本においては、年間300万円近くのお金が入ってくるのであれば、低所得層の人達は不満のある給与システムの仕事を続けなくても生活ができる事になります。

 そのため、失業率は相当に伸びてしまう可能性があります。その失業率をカバーするために、更なる財源を確保する必要が出てきます。

少子化対策には大きなプラスになる

 ただ、一つだけ大きな問題が解消されるのは少子化問題です。子供が増えればその分だけ生活の資金が増えるので、子供が多くいれば子供の将来に安心できる可能性があります。毎月のベーシックインカムの金額を想定すると

ベーシックインカムの金額と子供の数(月あたり)
毎月 年間
大人2人 毎月57万円 684万円
大人2人 + 子供3人 毎月78万円 936万円

 スイスで検討されたベーシックインカム制度で計算すると、これだけの金額を得ることになります。子供が3人いれば年収が900万円以上になるので、子供を三人とも私立大学に入学させる資金は十分に確保できる事になります。

平均給与以上の金額をもらっている人は不満である

 ベーシックインカムの考え方は、年金受給者も含めて「全国民が一律で同じ金額を受給するシステム」という考え方です。そのため、現在すでに年金を受給してる人にとっては、年金 → ベーシックインカムへ切り替わると・・

毎月もらっている年金額よりベーシックインカムの受給額が少なくなる

 可能性があり、その差額が大きい(かなり損をする)なら反対するはずです。

 年金をまだもらっていない年齢でも、これまで高額な年金を払ったのに「一律で支給する制度」に切り替わってしまうと「払い損」となります。そのため、導入反対派となるはずです。

まとめ:ベーシックインカムとは 日本で導入することは可能か

 結局、得をするのは若い年代で安い賃金で働く「ワーキングプア」と言われる低所得層の人達だけとなります。このあたりの不公平感を無くさないとベーシックインカム制度の導入が実現する事はあり得ないと考えられています。

 社会保障や高齢者問題、年金問題や景気対策などに関してもベーシックインカム制度で検討すべきポイントが多すぎるため、実現するまでにはいくつもの研究事例等を検討していく必要があるはずです。

Posted by mon